脊柱管狭窄症による足腰の痛みやしびれは、椎間板の変性や背骨の変形により、
脊柱管が狭くなることで起こります。
神経の物理的な圧迫が原因ですから、圧を取り除くことで症状が緩和します。
ここで紹介する3つの簡単動作を毎日の習慣にすれば、
痛みやしびれが少しずつ楽になるでしょう。
【解説】渡辺航太(慶應義塾大学医学部整形外科学教室准教授)
・脊柱管狭窄症 のびのび体操のやり方
脊柱管狭窄症による足腰の痛みやしびれは、椎間板の変性や背骨の変形により、脊柱管が狭くなることで起こります。
神経の物理的な圧迫が原因ですから、圧を取り除くことで、症状が緩和します。
ここでは、脊柱管の周辺に働きかけ、症状の緩和に役立つ体操を紹介します。
3つの簡単動作を毎日の習慣にすれば、痛みやしびれが少しずつ楽になるでしょう。
【注意点】
●動作AからCを順に行います。この一連の動作を毎日、起床時と就寝前の2回、布団の上で行うとよいでしょう。
●痛みがある場合は、無理に行わないでください。慣れてきたら、回数を増やしてもかまいませんが、やり過ぎに注意しましょう。
≪動作A・背骨を緩める≫
脊柱管狭窄症の要因の1つに、背骨の下のほうに位置する、腰椎周辺のスペースが狭くなることが挙げられます。
きつく詰まった腰椎の周辺を緩めることで、背骨の中の脊柱管にかかる圧を減らす効果が期待できます。
❶あおむけになり、片足を曲げ、ひざを抱えるようにして胸に寄せる。10秒キープする。
❷反対側の足も同様に行う。
≪動作A 上級編≫
動作Aが難なくできる人は、以下の動作も行いましょう。
❶あおむけになり、両ひざを立て、右足の足首を左足のひざにのせる。
背中を丸め、左足の太ももを抱えるようにして胸に寄せる。10秒キープする。
❷反対側の足も同様に行う。
≪動作B・脊柱管を広げる≫
動作Aで背骨を緩めたら、背中をグッと丸めて伸ばすことで、
狭まっていた脊柱管が広がりやすくなります。
脊柱管の中を通っている神経に加えられた圧が弱まり、
感覚の伝達がスムーズになる効果が期待できます。
❶床に両手をつき、四つんばいになる。おなかを引っ込めながら、腰から背中を丸める。
❷徐々にお尻を後ろに引き、かかとにつくまで下げ…
…手は前方に伸ばす。10秒キープする。①~②を5回くり返す。
≪動作C・体幹を鍛える≫
悪い姿勢は骨格のゆがみを招き、それが脊柱管狭窄症の悪化にもつながります。
体幹を鍛えることで、自然とよい姿勢を維持できるようになり、脊柱管狭窄症の症状の緩和が期待できます。
❶床に両手をつき、四つんばいになる。顔を床に向け、横から見て一直線になるよう右手を前に、左足を後ろに伸ばす。10秒キープする。
❷反対側も同様に行う。①~②を3回くり返す。
【脊柱管狭窄症セルフチェック】
いかがでしたか? 動作AやBを試して、
「気持ちいい」と感じたあなたは脊柱管狭窄症かもしれません。
下の簡易自己診断表でチェックしてみましょう。
- 立っていると足がしびれる
- 歩いていると足がしびれる
- 後ろに反ると痛みやしびれが出る、または背伸びができない
- 前かがみになると楽になる
- 少し休むとまた動ける
上の項目に1つでも当てはまる場合は、脊柱管狭窄症の可能性があります。
お気軽に当院にご相談ください。
解説者のプロフィール
画像: 解説者のプロフィール
渡辺航太(わたなべ・こうた)
1972年、神奈川県生まれ。97年、慶應義塾大学医学部卒業。同大医学部整形外科に入局、総合太田病院(現太田記念病院)整形外科等を経て、2002年から慶應義塾大学生理学教室に所属。05年から1年間、米国ワシントン大学整形外科留学。06年、慶應義塾大学先進脊椎脊髄病治療学助手、07年、同大医学部整形外科助教、08年から現職。脊椎一般、脊柱変形、腰椎内視鏡下手術、側弯症が専門。棘突起縦割式椎弓切除術の考案者。この記事は『壮快』2022年10月号に掲載されています。
元記事はこちら→https://ca-pore.com/_ct/17575564
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